当院で最も行われている、変形性膝関節症について説明します。
変形性膝関節症は加齢により軟骨が摩耗して痛みが生じている病態です。 変形の程度、痛みの程度で治療法が変わります。
保存治療
痛み止め(消炎鎮痛剤)の内服、外用(湿布等)、物理療法、理学療法、 ヒアルロン酸やステロイドの注射、装具治療等行います。
膝関節鏡手術(Arthroscopy)
初期の変形性膝関節症に加え、半月板の引っかかりが生じている場合に行います。
変形そのものを治す治療ではありませんが、半月板の引っかかりが取れて疼痛が改善します。
- 手術時間:15~20分
- 全身麻酔
- 入院期間の目安:8日間
高位脛骨骨切り術(High Tibial Osteotomy HTO)
膝の内側のみ変形が強い方で、40~60代の若い年代に対して行う手術です。脛骨(すねの骨)を切り、O脚を矯正します。人工関節であれば、活動制限(走れない、飛べない)がありますが、この手術の場合は骨癒合後の活動制限は一切ありません。スポーツ愛好家の方は高齢でも適応となることがあります。欠点は骨癒合まで時間がかかること、1年後に矯正プレート除去のために手術が必要なことです。
- 手術時間:60~80分
- 全身麻酔
- 入院期間の目安:3~4週
人工膝関節単顆置換術(Unicompartmental Knee Arthroplasty UKA)
膝の内側のみ変形が強い方で、60歳以上の年代に対して行う手術です。手術侵襲が小さく、かなり高齢の方でも手術を受けることができます。除痛効果は高く、手術翌日から歩行可能です。欠点は走る、飛ぶ等の激しいスポーツ活動はできません。ウォーキング、グランドゴルフ、水泳は可能です。
- 手術時間:50~60分
- 全身麻酔
- 入院期間の目安:2~3週
人工膝関節全置換術(Total Knee Arthroplasty TKA)
高度な変形に対して行う手術です。大きな手術になるので、手術前に自分の血液を400~800mlストックしてから手術を行います。除痛効果は高いですが、正座はできません。痛みなく歩く、痛みなく立ち上がることが目的で、激しいスポーツはできません。ウォーキング、グランドゴルフ、水泳は可能です。
- 手術時間:60~90分
- 全身麻酔
- 入院期間の目安:3~4週
膝の痛みに対してどの治療が良いのか、実際に診察してからご説明します。
他院で全置換術が必要と言われた方の中には、高位脛骨骨切り術や、単顆置換術が可能な方もいらっしゃいます。ぜひ診察を受けにこられてください。