人工関節周囲の骨折
人工関節は50〜85歳頃の方が多く受ける手術です。
手術により劇的に疼痛は改善しますが、その後は、また歳をとっていきます。
10年経過すれば、75歳の方は85歳、85歳の方は95歳になります。
徐々に下肢の筋力が落ち、目が悪くなり、転倒しやすくなります。
10年以上前に他院で人工股関節置換術を受けた70代の女性が、転倒により当院へ救急搬送されました。
左の大腿骨は大腿骨ステム直下で骨折しています。
この方は他院で人工股関節手術後に再手術を受けており、ケーブルが巻かれています。
骨折部に人工関節ステムの末端・ケーブルがあるため、このままでは骨癒合を見込めません。
前回手術のケーブルを抜去し、ケーブルを巻き直し、プレート固定を行いました。
さらに骨癒合を促すために、腸骨からの骨移植を行なっています。
このように、手術でなんとかすることはできるのですが、骨癒合までは時間がかかるため、
歩行能力は低下することが多いです。
一番大事なことは、転倒しないことです。
今は元気でも、人は歳をとれば必ず転倒しやすくなります。
家をバリアフリーにする、トイレやお風呂に手すりをつける、
適切なタイミングで杖やシルバーカーの使用を検討するなど、対策が必要になります。