前十字靭帯再建+高位脛骨骨切り同時手術
高位脛骨骨切り術(HTO)は、若年で活動性が高い変形性膝関節症に主に行われる手術です。
しかし、膝前十字靭帯(ACL)という前後・回旋制動の役割を果たす靭帯が機能していることが絶対条件となります。
ACLは、スポーツ選手(バレー、バスケットボール、サッカー等)がよく切ってしまう靭帯です。
ACL断裂を放置すると、将来ほぼ確実に変形性膝関節症になるので、
現在では、40~60歳でも再建が当たり前となっています。
しかし、10~20年前より以前は、スポーツをしない、主婦、中高年だからと
保存治療(手術をせずにリハビリや装具)も間違いではないとされていました。
今回紹介するのは50代の女性で、中学生のころにACL断裂が生じています。
その後約40年経過して、高度な変形性膝関節症となりました。
右膝内側の軟骨が消失して、関節面が不正となり、さらにO脚に変形しています。
通常であれば人工関節の適応ですが、活動性が高く、HTOを希望されました。
しかしACLが断裂しているため、HTOと同時にACL再建も行う必要があります。
関節鏡画像です。
右膝内側の軟骨が消失しています(上)。
対してHTOで体重がシフトされる外側の軟骨は全く正常です(中)。
ACLは完全に消失しています(下)。
(下)画面の左上から右下にかけてあるべきACLは遺残組織のみとなっています。
まずはACLを再建します。
V0020動画です。
この後にHTOを行います。
HTOのスクリューと再建靭帯の走行が重ならないように、
微調整が必要となり難易度の高い手術となります。
並べてみると、膝の形が良くなっていることがわかります。