10代中手骨骨折手術
ブログに手術症例を出すと書いておきながら、1か月以上すぎてしまいました。
実際載せるとなると、少ない写真と短い文章で誤解なく伝える必要があり、慎重になってしまいます。
比較的分かりやすい骨折症例を提示することにします。
次の写真は10代男性、スポーツによる第3中手骨骨折です。
中手骨は掌の部分の骨だと思ってください。
どこが折れているか分かると思います。
ズレがなければギプスで良いのですが、この症例は短縮しています。
放置やギプスでも骨癒合はしますが、変形が残存します。
この部位の変形は、最悪の場合、手を握ったときに中指が他の指に重なってしまいます。
超高齢者や認知症でもない限り手術適応です。
手術の選択は主に3つあります。
①骨折部を完全に展開してプレートとスクリューで固定
②中手骨の根本の部分に1㎝の切開を加えてワイヤーを骨髄内に入れて固定
③切開せずに、レントゲン透視下に整復して皮膚ごしにワイヤーで固定。ワイヤーの根本は皮膚外に出しておく
それぞれに一長一短があり、骨折型、年齢、活動性、麻酔法により選択されます。
今回は②の方法で行いました。傷は小さく、固定性は強固です。
2本の中空の筒を縦に繋いで、中に固くい太い芯を入れるイメージです。
ワイヤーはすべて骨内と皮下に入っているため、抜糸後は手を自由に使えます。
欠点はワイヤーの選択、先端の曲げ方、打ち込む角度と強さ、ワイヤーの曲がりを利用した中からの整復等、
結構テクニックが必要なことです。
テクニックがなければ、髄内に入っていかないワイヤーと格闘し続け、いくら時間をかけても手術が終わりません。
術後2カ月の写真です。十分な骨癒合を得られ、手に衝撃のかかるスポーツ活動も許可しました。
ワイヤー抜去はいつでも良いので、学生さんの場合夏休み等休みが取れるとき、スポーツ選手の場合シーズンOFFで大丈夫です。
シンプルな指の骨折なのに、こんなに長い文章を書いてしまいました!!